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Back to the Future DeLorean

ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドで展示されているタイムマシン仕様のデロリアン・DMC-12

Delorean5

ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドに展示されている別の角度のデロリアン

本項では、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズに登場する車型タイムマシン、通称デロリアン (De Lorean) について述べる。このタイムマシンのベースとなっている実在の自動車「DMC-12」については、同車両の製造メーカーでタイムマシンの通称の由来にもなっている「デロリアン・DMC-12」の項を参照のこと。

概要[]

エメット・ブラウン博士(クリストファー・ロイド)が、自らの愛車 DMC-12 を改造して製作したタイムマシンである。ブラウン博士の発言によれば、DMC-12 が改造のベースに選ばれたのは「ステンレスボディーがタイムマシンにとって都合がいい」ことと「見た目がかっこいい」ことが理由だったようである。

デロリアンは、1985年10月26日に最初のタイムトラベルに成功し、最後のタイムトラベルで1985年10月27日に到着した後、列車と衝突し大破した。従って、スタート時点の時間軸から見れば、完成から2日程しか存在しなかったことになる。一方、デロリアンから見た時間軸では、70年以上存在していたことになる(1885年から1955年まで鉱山跡に隠されていた期間が大半を占める)。

タイムマシンとしての動作原理は不明だが、後述するフラックス・キャパシターの働きによって時間を飛び越えるものとされている。なお、タイムトラベルの際には時間的な移動しか出来ないようで、空間的には常に出発点と同じ(過去または未来の)地点に移動している。

タイムトラベルの際は時速88マイル(時速約140km/h)まで加速する必要があるため、長めの直線道路が必要になるが、2015年の技術で飛行機能を取り付けられたことでこの問題は解決している。タイムトラベルの瞬間、デロリアンは閃光を放ち、炎のタイヤ跡を残す。目標時間への突入時には多少の衝撃を伴う。また、タイムトラベル先の時間に出現する際には、3度の閃光とソニックブーム音を伴う。当初のデロリアンは、タイムトラベル直後に素手で触れられないほどの超低温となったが、後に改良された。

なお、ブラウン博士はデロリアンの他にも機関車型のタイムマシンを製作している。

装備[]

フラックス・キャパシター[]

タイムトラベルを実現するための装置。日本語訳は「次元転移装置[1]」。動作には1.21ギガワット[2]の電力が必要である。ブラウン博士は1955年にトイレで転んで頭をぶつけた際にフラックス・キャパシターの着想を得た。また、その直後に1985年からやってきたマーティと出会うことにより、着想の正しさを知ることになる。

De Lorean DMC-12 timer

タイムサーキット

タイムサーキット[]

フラックス・キャパシターを制御するための装置。

電源供給装置[]

前述のように、フラックス・キャパシターを作動させるためには膨大な電力が必要である。そのための電源供給装置として、以下の3種類のものが使われた。なお、陸上走行には通常のエンジンが使用されており、燃料はガソリンである。

  • 原子炉
プルトニウムを燃料とする原子炉のようだが、詳細は不明である。
  • 電線とフック
ヒルバレーの時計台の避雷針から道路まで張った電線に、デロリアン後部に設置したフック付きのポールを接触させ、雷の電流を直接フラックス・キャパシターに流し込む。
1955年では原子炉の燃料であるプルトニウムが入手出来ず、その他に電力を得る方法として考えられるのは雷だけだったために使われた。雷がいつどこに落ちるかが正確に予測できないと使用できない。
  • ミスター・フュージョン[3]
ブラウン博士が2015年へタイムトラベルした際、原子炉の代わりに取付けた装置。生ゴミ等を投入すると、それを原子レベルにまで分解、核反応を発生させる。2015年では一般家庭向けの電源として販売されているようである。

ホバー・コンバージョン[]

ブラウン博士が2015年へタイムトラベルした際、デロリアンを飛行可能にするために取付けた装置。2015年では一般的に販売されているようである。また、飛行のための燃料にはガソリンを使用するようである。

その他[]

その他、通常の DMC-12 からの改造点として、以下のようなものがある。

  • 遠隔操作機能
デロリアンの運転テストには、ブラウン博士の愛犬アインシュタインが搭乗したため、外部から遠隔操作するための無線操縦装置が取付けられていた。操作には日本の双葉電子工業製プロポが使用された。
  • スピードメーター
通常の DMC-12 に取付けられているスピードメーターは、85マイルまでしか表示できないが[4]、デロリアンには時速95マイルまで表示可能なメーターに交換、さらにダッシュボード上部にデジタル表示のメーターが増設されている。
  • ラインロック
前輪をロックするための改造。これをONにした状態でアクセルを踏み込むことで後輪のみを回転(バーンナウト)させ、十分に回転している状態でOFFにすることで、ドラッグレースのような急加速が可能になる。

改造歴[]

デロリアンは、主にその時代で利用可能な技術でタイムトラベルを可能にすることを目的に何度か改造されている。

完成時[]

1985年の技術で作られた、当初のデロリアン。

1955年での改造後[]

雷の電力でタイムトラベルを行なうために改造されたデロリアン。

完成時[]

改造ではないが、歴史が変化したことにより上述とは違う形で完成したデロリアン。

マーティがタイムトラベルしたことにより、ブラウン博士は1985年に自分が殺害されることを1955年の時点で知ることになる。これを回避するため、ダッシュボード下にエンジン始動用の隠しスイッチが取り付けられている(小説版での設定)。

2015年での改造後[]

ミスター・フュージョン、ホバー・コンバージョンが取り付けられた、最も高性能なデロリアン。

ブラウン博士の発言によれば、デロリアンをタイムマシンにするために施した改造のいくつかは、2015年の法律に違反している(小説版での設定)。

1955年での改造後[]

1955年で入手可能な技術で改造されたデロリアン。

1955年にブラウン博士を乗せて飛行中のデロリアンが落雷を受け、タイムサーキットの誤作動により1885年にタイムトラベルする。落雷により、タイムサーキットとホバー・コンバージョンが故障。ブラウン博士は修理を試みるも、必要な部品が1947年まで発明されない[5]ことが判明したため断念し、デロリアンをデルガド鉱山の廃坑に封印する。同時に1955年でなら入手可能な、真空管などを使った修理方法を記した手紙を、取り残してきたマーティ宛てに届くよう手配する。

1955年に手紙を受け取ったマーティは、封印されていたデロリアンを発見、受け取った手紙と1955年のブラウン博士の協力によりデロリアンを修理する。落雷でショートしたタイムサーキット制御用の日本製マイクロチップに代わる新しい装置[6]は、デロリアンのボンネットに取り付けられた。なお、ホバー・コンバージョンは修理不可能だったようで、デロリアンが再び空を飛ぶ事は無かった。

上記の他、70年間の経年劣化によりボロボロになったタイヤが、ホイールと合わせて1950年代のホワイトリボンタイヤに交換されている。さらに、未舗装路を走行するために車高が上げられている。なお、デロリアンのボディはステンレス製のため、錆びることはなかった。

1885年での改造後[]

線路を走らせるための車輪が取り付けられたデロリアン。

1885年到着直後、マーティを乗せたデロリアンはインディアンに襲撃される。逃げる際に荒野の悪路を走行したため、燃料タンクに穴が開き、ガソリンを失う。1885年ではガソリンが入手不可能だったため、アルコール度数の高い酒で代用を試みるが、燃料噴射装置(マニホールド)が吹き飛び自走不能の状態になる。そこで、車輪を線路用に交換し、蒸気機関車で押すことにする。この時取り外されたゴムタイヤ(1955年仕様)は、機関車とデロリアンの間の緩衝材として使用された。

デロリアンは1985年に戻ることには成功するが、100年後にも使用されていた線路に到着したため、直後にやってきた列車と正面衝突し、バラバラになる。

操作方法[]

タイムトラベル[]

まず、タイムサーキットの電源を入れ、行き先時間を設定する。タイムサーキットの表示は3段になっており、上から「行き先時間」、「現在の時間」、「最後にタイムトラベルしたときの出発時間」が表示される。行き先時間は、月、日、年、時刻の順にテンキーから入力し、テンキー左脇のボタンで決定する。その後、時速88マイル(約141.6km/h)まで加速するとフラックス・キャパシターが作動し、デロリアンは時間を飛び越える。

なお、タイムサーキットのスイッチ類はシフトレバーの近くに配置されているため、シフトチェンジの際に触れてしまうことがある。この場合、意図せずタイムトラベルしてしまうことがあるので注意が必要である。事実、マーティとブラウン博士はいずれもこのミスを犯している。

陸上走行[]

陸上走行時の操作方法については、通常の自動車と同様と思われる。

空中飛行[]

空中飛行時の操作方法については不明である。

エピソード[]

映画制作当初、タイムマシンは冷蔵庫を改造したものになる予定だったが、映画を見た子供が真似をして冷蔵庫の中に閉じ込められてしまうことを懸念し(当時の冷蔵庫は外部のレバーを引かないと開かない構造のものが多かった)、取り止められた。その後、監督が DMC-12 のガルウイングドアを見て車型タイムマシンを思いついたとされている。[7]

映画の公開前特番で、主人公マーティに扮したマイケル・J・フォックスは、デロリアンと映画『タイムマシン』に登場したタイムマシンを並べ「今時のタイムマシン」と紹介した。

当初、撮影用に用意された DMC-12 は3台、映画3部作を通して最終的には計7台が使用された。それらは撮影目的ごとに、外装または内装のみ、あるいはカメラを入れる為に天井を切り取るなどの改造が施された。撮影終了後、1台はスティーヴン・スピルバーグが、別の1台はイギリスのバンド「バステッド」のメンバーのジェイムス・ボーンが所有している。

デロリアンが列車と衝突してバラバラになるシーンは、衝突専用のDMC-12が用意され、分解しやすいように車体のボルトをすべて外したり内部に切れ込みを入れ、衝突時には車内から爆発させて撮影された(その際列車が脱線しないように内部のエンジン等の重機材は外されている)。

日本での人気も高く、アオシマからプラモデル、太陽工業のラジカンにも採用された。ミニカーではバンダイが販売代理権を獲得していた頃にホットウィールの「キャラホイール」シリーズ、USJ特注モデルとしてトミカが発売されている。

脚注[]

  1. 小説版第一作では「超時間回路」
  2. 共同脚本家のボブ・ゲイルのミスで脚本には"jigowatt"と書いてしまった。
  3. 日本語版への翻訳時は「融合炉」などとされていた。
  4. DMC-12 のエンジンは、PRV製の乗用車用6気筒エンジンで、出力は130馬力程度しかなくスーパーカーやスポーツカーと呼ばれる車種のように時速120マイル級の速度は出せない。時速88マイルは語呂の良い数値でもあるが、同時に DMC-12 が無理なく出せる程度の速度でもある。
  5. 1947年に史上最初のトランジスタが開発されており、これを指していると思われる。
  6. PART3公開当時に各地の大丸百貨店で開催された「ハリウッドSFX博物館-バック・トゥ・ザ・フューチャーの世界展」での展示プレートによる表記は「可変コンデンサー」
  7. 余談だが、『怪奇大作戦 セカンドファイル』のトータス号のベース車両がマツダ・オートザムAZ-1であるのも同じ理由である。

外部リンク[]

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